1.臨床工学技士について
1973年の施設開設時より、透析技士は地域住民の血液透析治療や血液浄化治療に貢献してきました。透析技士は、その他の医療職種と併せて1988年に「臨床工学技士」という国家ライセンスの一つになりました。
臨床工学技士は、現在の医療に不可欠な高度医療機器を扱うスペシャリストとして、医師の指示の下に生命維持管理装置等の適切な操作、保守点検を行うことを業務とする専門医療職です。東葛クリニックグループには現在、病院と7つの透析クリニックに約90名の臨床工学技士が在籍していますが、中には臨床検査技師や准看護師など、複数の資格を持つスタッフが数多くおり、幅広い医療活動を可能にしています。
2.臨床工学部の業務
  • 血液浄化業務
    当グループには現在、1,000名以上の透析患者さんが通院されており、1973年の開設当初より、常に最高水準の透析を考え、安心・安全な透析治療を提供し、合併症の予防・早期発見・早期治療に積極的に取り組んでいます。 慢性腎臓病の患者さんの血液透析の他にも、肝疾患や腸疾患、膠原病、神経疾患などに対する血液浄化療法にも対応しています。
    【当院で行える血液浄化療法】
    • 血液透析(HD)
    • 血液濾過(HF)
    • 血液透析濾過(off-line HDF、on-line HDF)
    • 持続血液浄化(CBP)
    • 直接血液吸着(DHP)
    • 血漿交換(PE)
    • 二重濾過血漿交換(DFPP)
    • 白血球系細胞除去療法(LRT)
  • 透析関連装置の保守・管理業務
    院内研修やメーカー研修を終えた臨床工学技士が、透析関連装置である水処理装置・溶解装置・透析液供給装置・透析監視装置の保守・管理や修理を行い、日々、装置の安全運転に心がけています。また透析監視装置のオーバーホールは、チームを結成して年間約50台を臨床工学技士が分担して安全かつ確実に行っています。
  • 透析関連装置以外の医療機器管理業務

    臨床工学技士は、医療機器の保守点検を行うことができる専門職であり,医療の安全確保の要になっており、病院の医療機器安全管理責任者を任せられています。

    そこで当院では、日本臨床工学技士会の医療機器管理業務指針に準じて、医療機器に係る評価・選定、保守管理、廃棄までの一貫した管理を行い、医療機器の管理体制の構築や安全な医療機器の運用を心がけ、適正使用と使用環境の向上に努め以下の業務を行っています。

    • 医療機器製造販売業者等からの情報収集、管理及び院内医療従事者への伝達
    • 医療機器購入の際の機種選定のための試用及び購入決定者への助言
    • 医療機器の保守管理
    • 医療従事者に対する医療機器の使用方法の講習
    • 臨床現場における使用実態に係る情報収集及び医療機器製造販売業者等への伝達
  • 透析液の清浄化管理業務

    当院では、透析に使用する原水をはじめ、透析用水や透析液に関し、化学物質の汚染、生物学的な汚染がなく、且つ安全に治療を行うことのできる装置の企画提案、管理など、さまざまな透析液清浄化への取り組みを行っています。

    透析液の清浄度評価は、日本透析医学会より提示されている「2016年版透析液水質基準」、「エンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)管理基準」や日本臨床工学技士会より提示されている「2016年版透析液水質基準達成のための手順書Ver.1.01」に基づいてエンドトキシン濃度測定と生菌測定を行い、透析液清浄度の担保として安全な透析治療を行っています。

  • バスキュラーアクセス管理業務

    透析患者さんの高齢化や糖尿病性腎症の患者さんが増加しており、バスキュラーアクセス(VA)の管理は極めて重要になっています。

    臨床工学技士のVAへの穿刺(せんし)は日常業務として定着しており、必然的にVAの日常管理も担っています。当院ではVA管理の基本となる理学的所見の観察に加え、臨床検査技師や准看護師資格を併せ持つ臨床工学技士が、超音波診断装置(エコー)を駆使して透析患者さんのVAの管理を行っています。

在宅血液透析の指導・管理業務
当院では、透析患者さんの社会復帰や透析効率の改善目的のために、在宅血液透析(HHD、Home Hemodialysis)を行っています。臨床工学技士のHHD業務として、HHD導入時の患者さんへの指導、透析装置のメンテナンス・透析液清浄化管理、医療材料の供給や管理、定期的な家庭訪問などを行って、患者さんの透析ライフの支援を行っています。