腎臓(Kidney)は血液を浄化して尿をつくり、体外に排泄するという大切な役割を担っています。その大切な腎臓に異変が起きると、まず尿蛋白や尿潜血が認められるようになります。両方とも出ている場合に最も疑われるのが「腎炎」です。
腎炎から慢性腎臓病、さらに血液透析治療を必要とするまでには5年、10年、あるいは20年と長期を要しますので、まずは軽い腎炎の状態で完治させることが大切です。


血液検査や画像診断によって腎炎と診断されたら、さらに腎機能がどの程度、健全性を保っているかを詳しく調べ、その結果によって治療方針を立てます。


一口に「腎炎」と言っても、腎機能の程度によってその治療方法はさまざまです。治療は腎機能の度合いに応じて、主に生活習慣の改善と食事療法、薬物療法などが中心となります。腎臓病の食事療法は、高カロリー・低タンパク・低塩分が基本ですが、腎臓に負担をかけないようにするために、なるべく老廃物の少ない低タンパクの食事を摂るように心がけていただきます。腎機能が低下するほどタンパク摂取の制限は厳しくなりますが、食事の種類と量、食べ方をきちんと守るだけでも、病状はかなり改善されます。


生活習慣や腎機能について心配されている方は、ぜひお気軽にご相談下さい。

担当医師(非常勤)
小林 正貴(こばやし まさき)
東京医科大学茨城医療センター病院長、腎臓内科教授